同性婚のメリットとデメリット。日本で同性婚がなぜできないかと同性婚ができる国を紹介

同性愛者の中で好きな人と一生を共にしたい、家庭を築きたいと考えている人も少なくないことでしょう。

同性婚を行うメリットやデメリットがあることを知っておくことで、将来的に同性婚をしたい人や、制度が確立されたら同性婚を考えているという方には、具体的なイメージがわいてくるはず。

こちらでは同性婚のメリット、デメリットに加え、日本で同性婚ができない理由や同性婚ができる国を紹介します。

同性の恋人との将来を真剣に考えている人はぜひ参考にしてみてください。

日本での同性婚の現状を知ろう

日本での同性婚は遅れている！やっと法整備の前段階が始まった

昨今LGBTの人の声がやっと表面化されるようになってきましたね。

発言力のあるLGBTの方たちがSNSなどを使って、現状などに対して声を上げるようになってきたことから、ノーマルな人達も、現状や心の苦しみに耳を傾けたり、LGBTの人たちに対して支援を行ったりするようになってきています。

LGBTの人が身近にもいることや、人々の多様性をもっと受け入れ、認めようという働きや考え方が生まれてきているのです。

しかし、2019年10月現在、日本国内では同性婚を法律では認められていないのが現状です。

先進国の中で法的に同性婚を認めていないのは日本だけなのです。

日本ではなぜ同性婚が認められないのか

日本国憲法の第24条で「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立し」という文言があります。

この「両性」というのは男女のことを意味すると解釈されていることから、同性婚を実現させるために憲法改正をする必要があるのです。

憲法が制定された戦前の制度は、同性愛者がいることは想定されておらず、夫婦は男女で営み、子どもを持って家族を形成するという考え方が一般的でした。

そのため両性＝異性という概念が憲法には存在するのです。

同性婚を認めるための法案が提出されていますが、憲法の改正が進まない限り、法案の成立は難しいのが現状です。

現在はさまざまなNPOや政治団体、政党などが法整備に向かって動いています。

今すぐは難しくても、法的に同性婚が認められる将来が現実に近づいてきているのは事実といえるのです。

都市や東京都内で同性婚は条例で認知されている

法律では同性婚は認められていませんが、東京の渋谷区で同性パートナーシップ条例が認められたのは記憶に新しいところですよね。

市役所で手続きを取れば、同性同士であってもパートナーとして認める条例で、法的な拘束力はありませんが、一定の条件を持たした場合にパートナーの関係であることを証明することができます。

こうした同性パートナーシップ制度は、全国の都市でも認められる動きがあります。

しかし、同性パートナーシップを導入していない都市では、認知度も低いので制度のある都市との格差が生まれている現状があります。

たとえば、パートナーが重篤な状態で入院した場合や手術を行うときに、身辺の世話などの看護に対し、証明書に本人の同意があれば看護や身の回りの所持品や財産の管理が可能になります。

しかし証明書がない場合や、条例で認められていない場合には、本人が望んでいても看護や財産の管理をすることが難しくなることもあります。

2019年現在、同性パートナーシップ制度を打ち出している都市は、東京都（渋谷区、新宿区、中野区、江戸川区、府中市、）、三重県（伊賀市）、兵庫県（宝塚市、三田氏）、沖縄県（那覇市）、北海道（札幌市）、福岡県（福岡市、北九州市）、大阪府（大阪市、堺市、枚方市）、群馬県（大泉町）、千葉県（千葉市）、神奈川県（横須賀市、小田原市）、岡山県（総社市）、熊本県（熊本市）、栃木県（鹿沼市）、宮崎県（宮崎市）、茨城県全域、愛知県（西尾市）、長崎県（長崎市）と全国に広がってきています。

今までは同性同士で結婚するためには、養子縁組しか方法がありませんでした。

しかしこのパートナーシップを利用してみることで、法的な拘束力がなくてもいざというときに、大切な人のことを守ることができる制度になるのです。

同性婚ができる海外の国々

海外では同性婚が法整備はもちろん、社会的にも認知されている国が多数存在します。

2019年現在で同性婚が認められている国は

ベルギー、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランドなどの北欧の国々を中心に、スペイン、ポルトガル、スペイン、イギリス、アイルランド、フランス、オランダ、ドイツ、オーストリア、ルクセンブルク、マルタなどヨーロッパ諸国やカナダ、南アフリカ、アイスランド、アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、ニュージーランド、オーストラリア、アメリカ、コロンビアなど南北アメリカやオセアニア、アフリカなど世界で認められています。

アジアでは2019年5月に台湾で同性婚が認められたばかりです。

反対に、同性婚に対して中東やアフリカ諸国では罰則や終身刑、宗教的な理由によって死刑になる国もあります。

海外旅行などで出かける際にはリサーチしておくことが大切です。

同性婚をするメリット、デメリットは一長一短

社会的な制度や法的拘束力が生まれる

同性婚が法律で認められるようになると、法的な拘束力があるので、さまざまなメリットがあります。

まずは遺産相続が認められるようになることが同性婚の最大のメリットです。

現在ではどれだけ長く一緒に住んでいても、同性婚が法律上認められていないので他人という扱いになってしまい、遺産相続の権利や慰謝料請求は現状では非常に難しいのが問題です。

離婚や死別によって財産分与を請求することができたり、遺産相続ができたりするようになります。

さらに配偶者控除や企業の福利厚生なども受けられるようになります。

配偶者やその家族にもしものことが会った場合にも、慶弔休暇が取得でき、会社の所得控除や福利厚生サービスを受けられるので、同性婚をしていることを公にすることもできますよね。

また、離婚をすることももちろん権利として行使できますし、さらには特別養子縁組制度を遣えば、子どもを持つことも可能になります。

同性婚が認められれば親族として扱われるので、病院の手術の同意書や入院の面会なども認めてもらえるようになります。

配偶者ビザも使えるようになるので、相手の方が外国人である場合には、配偶者ビザの申請が可能となります。

今ある「夫婦」で受けられる社会的なサービスや企業サービスも、当然受けられるようになるので、同性婚が認められると、LGBTの人の生き方そのものが大きく変化するようになりますよね。

同性婚は性的少数者への差別の防止も

同性婚が法律で認められると、いじめや差別などの言動を行うことに対する抑止効果が生まれるようになるでしょう。

社会がLGBTの人を認められると生き方や将来への希望や展望も明るいものへと改善されていくはずです。

今までは、LGBTであることを隠して生活したり、人知れず悩んだりしていた人も、生きやすい社会へと変わっていくのでうつや自殺という最悪の状況を選ぶ人の数が減るのではないかと予測されます。

同性婚は少子化につながる？デメリットも検証

同性婚を認めない人の意見には「子どもを産まないから少子化につながる」「婚姻制度そのものが破壊される」「子どもが同性の親の元に育つことで悪影響があるのでは」という意見も存在します。

同性愛者の数そのものが人口の1割にも満たない現状では、少子化や結婚制度について、とやかく言うほどの影響はないと考えられます。

さらにLGBTの場合には、子どもに悪影響があるのではと懸念される声もあります。

虐待や貧困、病気などで子どもへのケアが十分ではない家庭で育つ子どもよりも、同性婚カップルの元で愛情たっぷりに育てられた子どもの方が幸福度は高いという海外の事例もあるので、子どもを持つカップルが増えると、社会的に認知されやすくなると考えられます。

同性婚が認められたらLGBTの生き方が変わる

現在は憲法改正や法制度が整っていませんが、同性婚が日本でも認められるとLGBTの人の生き方そのものが変わっていきそうですね。

社会的に認められるようになるとともに、特別養子制度を利用して家族を作ることもできるようになるのです。

法的制度が整えば、同性愛者に対する偏見や差別などもなくなっていき、日本そのものが多様性が認められる成熟した社会になっていくことでしょう。